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ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

四時と人間の相関・・・総論

四時と人間の相関 筆者 : 金澤秀光

初冬・・・美しく枯れる




 各地域の文化は、それぞれの気候風土に適うように形成されてきた。


 文化は、衣食住だけでなく、人々の意識の在り様、方向性まで決定づけます。

 人が健康に生活していくためには、とりわけ四時の変化に適う生活が最も大切であるところは、黄帝内経で一貫して説かれていることです。

 春夏秋冬の四季=四時には、それぞれの季節に特徴的な気の作用(昇降出入)があります。   (図―1)


図 1








 東洋医学では、四診(望聞問切)の中核をなす八綱概念を実際の臨床に応用するには、自然界の陰陽の盛衰=消長と共に、人間もまた自然界の気の変化に同調するという天人合一思想を十分に理解し、臨床に応用する必要があります。

 また四時の気の変化は、未病の見地からも、患者の養生指導を行う上でも、治療者が身に着けておかなくてはならない必須の知識です。

 以下、イメージしながら、感覚として大雑把に捉えてください。

 春は寒気が緩んで万物が芽を出し、あらゆるものが生まれ活動を始める時期です。

 気の流れは、内部から外部へ、下から上へと、まるで種が殻を破り、発芽するかのように動き始めます。これを「生」の気と称します。肝の臓に通じます。


 夏になると、陽気が盛んとなり、天地・陰陽の気は激しく交流し、ありとあらゆるものが活発に活動する時期です。

 陽気が盛んであるため、万物は発散しながら成長します。これを「長」の気と称します。心の臓に通じます。


 秋になると空気が澄んで清涼となり、あらゆるものが引き締まる時期です。

 夏の間に十分に活動してきた万物が、この時期になるといよいよ結実の時、収穫を迎えます。

 外部から内部へ、上から下へとまるで実が硬くなり地面に落ちるかのような気の流れになります。

 これを「収」の気と称します。肺の臓に通じます。



 冬になると寒気が天地を覆うようになり、あらゆるものが凍りついて活動をやめ、密やかになる時期です。

 陰気=寒気が盛んとなり万物も、堅く扉を閉ざして地中深く隠れるかのように、内部深くに陽気を温存させます。

 これを「蔵」の気と称します。腎の臓に通じます。



 要約すると以下のようになります。

 1.春は生まれる。芽吹いて気は徐々に外・上向き。・・・肝

 2.夏は伸びて盛んに成長。気は遠心性・外に発散・上昇・・・心。

 3.秋は引き締まる。気は内に収斂・下向き。・・・肺

 4.冬は固く閉ざす。求心性・鎮静・下降。・・・腎




 このように、自然界は四季=四時を通じて、大きく成・長・収・蔵と四つの気の変化を現します。

 さらに季節の気は、五藏の特徴的な働きと密接で、春・東=肝、夏・南=心、秋・西=肺、冬・北=腎、土用・中央=脾に通じています。

 これは人間の生理活動を、自然に関連付けて認識しようとした古人の世界観を反映したものです。(天人合一思想)

 従って、人体の肌表の状態、気の浮き沈み、脈状だけでなく、季節的・天候的要因で変化する症状を理解する上でも、なくてはならない概念ですので、しっかりとイメージして意識になじませることが肝要です。

 四時の気の変化は、人体気血の生理変化に顕著に影響します。

 また四時変化は、一日の変化と同じ原理が作用します。

 春の生は朝、夏の長は昼、秋の収は夕方、冬の蔵は晩、といった具合です。(図 1)

 四時と五藏との詳細な関係は、改めて「臓象学」と「養生学」で述べますので、ここでは四時の気の動きをしっかりとつかんで、人体の気血と相関させてください。


 以下、<黄帝内経・素問―四気調神大論>の内容に沿って、それぞれの季節ごとに説明して参りましょう。








 一の会