ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

性を養う(3)養形第三⑤

 養形第三最後の項目は、沐浴に関する諸々の注意事項が書かれています。

 抱朴子に云う、「月が井宿に入った日に沐浴すべきである。長生無病になる」

 又十二月の月ごとに沐浴すべき日として、
「正月十日の人定(8時〜9時)、二月八日の黄昏時、三月六日の日没時、四月七日の日が傾き始める解き(午後2時過ぎ)、五月一日の日中、六月二十七日の日食の時(昼食時)、七月二十五日の小食の時、八月二十五日の日の出の時、九月二十日の朝、鶏が三回鳴いた時、十月十八日の一番鶏が鳴いた時、十一月十五日の夜中過ぎ、十二月十三日の夜中、そして閏月で日が真南に入るのを見た時に沐浴するのが良く、髪の加護や恩恵を得て。諸々の病を取り除く」と書かれています。

 この辺りは月日時を指定して沐浴した方が良い時を語っている為、自身で要検証する必要性と、陰暦の年、月、日、時をきちんと把握する必要があり、少しマニア向けの趣となっています。

 注意事項としては、
 「洗髪した直後風に当たってはいけない、湿ったままの髪を結ってはいけない。又、湿った頭のまま寝てはいけない。それによって頭風、眩暈、髪が抜け落ちる、シミができる、歯痛、耳聾となる」と書かれている。

 またさらに、熱を与えた後に急に冷水を掛けることで体が気の流れに対応できない様子が書かれていて興味深いところです。

 最後の養生要集では、山中の池の水や旅に出た際の河の水を使って洗髪や洗顔することの危険性を語っていますが、これは現代ではほぼ不要な概念だと思います。


 原文及び書き下し文

 又云、抱朴子云、月宿東井日可沐浴。令人長生無病。
 又云う、抱朴子に曰く、月の東井に宿る日に沐浴すべし。人をして長生無病ならしむ。

 又云、正月十日、人定時、二月八日黄昏時、三月六日日入時、四月七日日昳時、五月一日日中時、六月二十七日日食時、七月二十五日小食時、八月二十五日日出時、九月二十日鶏三鳴時、十月十八日鶏始鳴時、十一月十五日過夜時、十二月十三日夜半時、閏月視日入中時、可沐浴得神明恩除百病。
 又云う、正月十日人定の時、二月八日黄昏の時、三月六日日入りの時、四月七日昳の時、五月一日日中の時、六月二十七日日食の時、七月二十五日小食の時、八月二十五日日出の時、九月二十日鶏三度鳴く時、十月十八日鶏始めて鳴く時、十一月十五日夜半を過ぐる時、十二月十三日夜半之時、閏月、日の中に入るを見る時、沐浴すべし。神明の恩を得て、百病を除く。

 又云、道士齋戒沐浴蘭菊花湯令人老壽。
 又云う、道士は齋戒するに蘭菊の花の湯に沐浴す。人をして老壽たらしむ。

 又云、常以春三月旦沐更生、夏三月旦沐周盈、秋三月旦沐日精、冬三月旦沐長生。常用陰日沐浴之、増壽三百年。謂不服但沐浴也。服之者延壽無已。[今案、大清経云、更生者菊之始生苗也。周盈者菊之茎也。日精者菊華也。長生者菊根也。又蝦蟇経云、甲丙戊庚壬皆陽日也、乙丁己辛癸皆陰日也。]
 又云う、常に春の三月を以て、旦更生に沐す。夏の三月は旦周盈に沐す。秋の三月は旦、日精に沐す。冬三月は旦、長生に沐す。常に陰日を用いてこれに沐浴すれば、壽を増すこと三百年と謂えるは、服さずしてただ沐浴することなり。これを服する者は壽を延ぶること已む無し。
「今案ずるに大清経に云わく、更生とは菊の始生の苗なり。周盈は菊の茎なり。日精は菊の葉なり。長生とは菊の根なり。又、蝦蟇経に云う、甲丙戊庚壬は皆陽日なり。乙丁己辛癸は皆陰日なりと。」

 又云、凡人常以正月二日、二月三日、三月六日、四月八日、五月一日、六月二十一日、七月七日、八月八日、九月二十日、十月八日、十一月二十日、十二月三十日取枸杞煮湯沐浴。人光色八、九十顔色如年少之時不老不病。
 又云う、凡そ人は常に正月二日、二月三日、三月六日、四月八日、五月一日、六月二十一日、七月七日、八月八日、九月二十日、十月八日、十一月二十日、十二月三十日を以て、枸杞の煮湯を取りて沐浴せよ。人の光色を益し、八、九十にて顔色、年少の時の如く老いず、病まざるなり。

 延壽赤書云、甲子及[氵月]日當沐浴。
 延壽赤書に云う、甲子及び陰日に至りて、当に沐浴すべし。

 千金方云、恒欲晦日沐、[氵月]日浴。
 千金方に云う、恒に晦日に沐し、朔日に浴せんと欲せよ。

 又云、居家不欲數沐浴。必須密室、室不得大熱、亦不得大冷。大熱大冷皆生百病。冬沐不得使汗出。沐浴後不得触風冷。飢忌浴、飽忌沐[正本无之]。沐浴訖須進少許食飲乃出。
 又云う、居家にて数々沐浴することを欲せざれ。必ず密室を須い、室大熱なるをも得ず、亦た大冷なるをも得ざれ。大熱大冷は皆百病を生ず。冬沐して汗出でしむるを得ざれ。沐浴の後、風冷に触るる事を得ざれ。飢ゆるときは浴を忌み、飽くときは沐を忌む。
「正本にこれなし」浴し訖れば須らく少許の食飲を進めて、乃ち出ずべし。

 又云、新沐訖勿以當風、勿以湿結之、勿以湿頭臥、使人得頭風、眩悶、髪頽、面齒痛、耳聾。
 又云う、新たに沐し訖りて以て風に当たる勿かれ、以て湿にしてこれを結ぶ勿かれ、以て湿頭にて臥する勿かれ。人をして頭風、眩悶、髪頽、面黒、歯痛。耳聾を得せしむ。

 又云、炊湯経宿洗人體成癬、洗面無光、甑畦瘡。
 又云う、炊湯の宿を経たるものにて人の体を洗えば、癬を成し、面を洗えば光りを無くし、甑畦瘡を作す。

 又云、凡夫妻不同日沐浴。
 又云う、凡そ夫妻は日を同じくして沐浴せざれ。

 大清経云、新沐訖、不得露頭傍河遊観。亦為大風。
 大清経に云う、新たに沐し訖れば、頭を露わし、河に傍うて遊観することを得ず。亦大風と為る。

 枕中方云、勿十一月十日沐浴。
 枕中方に云う、十一月十日には沐浴する勿かれ。

 養生志云、諸深山有陂水久停者、喜有沙虱、不中沐浴。
 養生志に云う、諸の深山に陂水の久しく停まる者あらば、喜く沙虱あり。沐浴に中てざれ。

 養生要集云、凡遠行途中、逢河水勿洗面。生烏[面干]。[状如烏卵之色斑也]
 養生要集に云う、凡そ遠行して、途中に河水に逢うも面を洗う勿かれ。鳥[面干]を生ず。「状、鳥卵の色斑のごときなり」


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