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ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

性を養う(9) 服用第九

 第九は服用と書かれていますが、薬の服用ではなく、衣服の用い方とでも解釈したほうが良い節です。

 基本的に季節に沿った服の厚みについてですが、特に冒頭部分では、春は天氣が温かくなるが、実際には地氣まで温かくはないので衣服を薄くすることで、厥逆が起こりやすくなることを戒めています。

大素経に云う
「岐伯は次のように言っている、衣服は気候の寒熱に適応する事が第一である。寒ければ寒くないように、暑ければ汗をかきすぎないような服装が好ましい。」

養生要集に云う
「青牛道士は次のように言っている、春は天気が温かく、陽気がどんどん上ってきているが、服は薄くしないように。常に軽く汗をかくくらいが一番良い。」

千金方に云う
「衣服や道具には珠玉や金や宝物を用いてはいけない。過失を更に増やすようなものである。」

又云う
「春は服を薄くしてはいけない、傷寒にかかったり、霍乱、消化不良、頭痛を起こす。」

又云う
「春になっても氷が未だ解けない内は、服は下を厚くし、上を薄くするくらいがよい。陽気を増やし、陰気を収める事ができていれば、次の世まで長生きできる。

 湿った服や汗になった服を着てはいけない。虐や風逆にかかる。たくさん汗がでたら、よく服を取り替える方が良い。替えられない場合は急いで粉をつけよ。そうしなければ小便がよく出なくなる。」

又云う
「朝起きた時に服が光って見えたら、出入り口で三回服を振り「殃々去々」と呪文を唱えればよい。」

養生志に云う
「朝起きて服を着るときに、裏返しになっていたら正しく直してから着る方が良い。」

又云う
「朝起きて服や帯で人を包む、或いは手を結んで三回振って「殃去殃去」と言うのが良い。」

又云う
「枕を高くして遠くへ唾すると寿命は減る。」

本草食禁雑法に云う
「北に向かって冠をかぶり、帯を結んではいけない。大凶である。」


 人が感じやすい表面の気候と実際の身体に与えている気候の加減との詳細な区別をしていたことが伺われます。

 短い節ですがこの感覚をしっかり身につけることで、身体内で起こっている事を推定する端緒となると教えてくれているように感じます。

 ここでも当然個人差はでますので、個人個人自分がどう感じ、どうすべきかを考える必要があるでしょう。


原文及び書き下し文
  
 大素経云、岐伯曰衣服旦欲適寒温。寒無凄々、暑無出汗。
 大素経に云う、岐伯曰く衣服はただ寒熱に適えんとせよ。寒くして凄々たることなく、暑くして汗を出だすことなかれ。

 養生要集云、青牛道士曰、春天天氣雖陽暖勿薄衣也、常令身輒々微汗乃快耳。
 養生要集に云う、青牛道士曰く、春天には天氣陽暖かなりと雖も衣を薄くするかなれ。常に身をして輒々と微汗せしむるが乃ち快なるなり。

 千金方云、衣服器械勿用珠玉金寶増長過失。
 千金方に云う、衣服、器械には珠玉金宝を用うるなかれ。過失を増長す。

 又云、春天不可薄衣令人得傷寒霍乱不消食頭痛。
 又云う、春天に衣を薄くするべからず。人をして傷寒、霍乱、食の不消、頭痛を得せしむ。

 又云、春氷未泮(はん)衣欲下厚上薄養陽収陰継世長生。
 又云う、春氷未だとけざれば、衣は下を厚く、上を薄くせんとせよ。陽を養い、陰を収め、世を継ぎて長生す。

 又云、湿衣及汗衣皆不可、久着令人發瘡及風瘙(そう・かさ)大汗能易衣佳不易急粉身不尓令人小便不利。
 又云う、湿衣および汗衣は皆久しく着るべからず。人をして瘡及び風瘙を発せしむ。大いに汗すれば能く衣を易うるが佳し。易えざる者は急ぎ身に粉せよ。しからずば人をして小便を不利ならしむ。

 又云、旦起衣有光者當戸三根之、呪云殃々去々吉。
 又云う、旦起きて衣に光りあるものは、戸に当たりて三たびこれを振り、呪して殃去ると云うが吉なり。

 養生志云、旦起着衣反者更正着吉。
 養生志に云う、旦起きて衣を着るに、反なる者は更に正して着るが吉し。

 又云、旦起衣帯抱人或結三根云殃去々々吉。
 又云う、旦起きて、衣帯もて人を抱み、或いは結びて三たび振り、殃去る云々と云うが吉し。

 又云、高枕遠唾損壽。
 又云う、枕を高くして遠く唾すれば壽を損なう。

 本草食禁雑法云勿向北冠帯大凶。
 本草の食禁雑法に言う、北に向かって冠帯するなかれ。大凶なり。

         一の会