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ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

流れの中に、不変を観る・・・不易流行

筆者 : 金澤秀光
陽の光がうれしい・・・


 「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」

 鴨長明のみならず、世の無常を説いている人はたくさんいらっしゃいます。

 この変化止まない無常=流行の中に、普遍の真理=不易を見出し、医学に用いようとしたのが易学であり、陰陽論であり、天人合一思想があるわけです。

 時代の流れに従って、人々の生活も意識も様々に変化しています。

 四季の変化はあっても、太陽は必ず東から昇り、西へと沈み、昼が来れば夜が訪れます。

 これは不易=不変の真理です。

 人もまた、どれだけ時代が変わっても、衣服を着、住居で雨露を避け、物を食べること、そのものは変わりません。

 さらには男女の営み、生と死、親子の情など、表面的な有り様は変わっていても、本質は変わりません。

 医学においても、表面的な病気・症状は様々な現れ方をします。

 さらにまた、時代によって流行する病も変化します。

 そのような変化を見せる生体に対して、不易=普遍的真理を用いて判断するのが東洋医学です。

 我々が古典を貴ぶのも、その中から不変の世界観や認識論が得られるからです。

 この不変の世界観や認識論を手中にすることができると、これが自分自身の軸になり、寄って立つ世界の土台になります。

 そうなると、千変万化する病や症状変化に振り回されることがなくなり、的確に認識・選択・行動ができるようになります。

 『不易流行、その基(もと)はひとつなり』 は、松尾芭蕉 の残した言葉です。

 筆者は<不変の真理を知らなければ基礎が確立せず、基礎に立脚して変化を捉えなければ進歩がない> と解釈しました。


 東洋医学の不易とすべきは、道であり、陰陽論であり、天人合一です。

 内経以後の古典や学問分野は、それぞれ扱う対象が異なっていても、この不易を基礎として論じられています。

 東洋医学は、歴史的に古いがゆえに、学問分野も深さも大きいので、なにを学んで、なにを追及していけばいいのか、初学の方は迷われるかもしれません。

 また伝統鍼灸にも、多くの流派がありますが、まずは陰陽論をしっかりと無意識レベルまでなじませることが重要です。

 そして自分が面白い、興味があるという分野を精究すると、変化=流行の智を得ながらにして同時に、不易=普遍的真理が強固となります。

 事象は、不易を根として枝葉という流行を生じるのですから、枝葉をたどれば根にたどり着くからです。

 そうなると、流派の枠に留まらず、自由闊達に鍼術が行えますし、たくさんの人に喜んでもらえるようになります。

 陰⇔陽、根と枝葉を往来していると、階段を上るように自然と高みに上ります。

 学理・真理は、与えられるのもではなく、自ら求める者にしか手にすることができません。

 勉学もまた、自ずからと求める心持ちで進めると、楽しくもあり、またはかどるものでもあり、陰陽の転化=飛躍が待っているものです。

 


 
 一の会