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ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

2016年度 第5回「一の会・東洋医学講座(基礎)」活動報告

筆者 : 大上恵子 活動報告
 夏、真っ盛りですね。

夏の家庭菜園

今年の夏は朝晩が涼しく、比較的過ごしやすいと感じるのですが、皆様いかがでしょうか。

夏の過ごし方については、こちらのブログも参考になさってください。
⇒ 鍼灸医学の懐 ~四気調神大論(二)-夏・生活の要点~


 さて第5回基礎講座、暑さにも負けず、元気よく気合の入った声でスタートしました!まずは永松先生によります『易学』
永松周二 一の会・副代表

 十二支を順次解いていただいています。今回は申(さる/しん)、酉(とり/ゆう)、戌(いぬ/じゅつ)、亥(いのしし/がい)の解説。

 くしくも8月7日当日は、「立秋」。
 これは前回解説して頂いた 未(ひつじ/び)天山遯天山遯 に相当します。
 そして9月、「白露」になりますと 申(さる/しん) 天地否天地否 となり、卦の下から順次陰気が増えてまいります。

 終始を重ねますと、下図のようになります。

図

 このように、一年を十二支で分割し、それぞれの時期の陰陽の変化を六十四卦で現すと、陰陽の消長が良く分かります。

 昔の人は、よくもこのように考え出したものです。

 そして四正+四隅=九宮の解説。

 以下の図にまとめてみました。

 一の会・会員の皆様は、配信しております動画と資料を手元において復習して頂くと、さらにしっくりと来るものがあると思います。
図
 これを人体に当てはめてみると、丑から辰に向かって陰気は昇るので、人体では左から昇ることになります。

 反対に未から戌に陽気は降りてきますので、人体では右から降りることになります。

 これは命門学説と繋がってきます!絶対的ではないにせよ、おおよその傾向として掴むことが出来ます。

 こういった概念が臨床に生かされれば、さらに深みが増しますね。



 次いで稲垣先生による『中医学から学ぶ東洋医学用語』。今回は<腑について・・・陰陽五行で人体を考える>です。
稲垣順也 一の会・学術部長

 臓と腑とでは比較にならないほど、圧倒的に臓の方が重要度は高いということで、今回の「腑」については比較的平易な内容でした。

 そして今回は、中医学が内包している矛盾点・・・東洋医学の世界観・人体観に反するような西洋医学的記述についても触れられました。

 例を挙げると、小腸で泌別清濁されて膀胱の腑に下った津液は、膀胱に浸み入るのが本来であるにもかかわらず、中医学では小腸と膀胱は脈管でつながっているとしている点。

 さらに小腸で泌別清濁され、膀胱でさらに清濁を分けるとされている点。

 胆に「精汁」を蔵して、脾胃の消化を助ける働きがあるとしている点。

 ・・・など、東洋医学の臓象概念に反するようなことが、あちらこちらに紛れ込んでいると解説されました。

また『素問・六節藏象論篇第九』より、「脾胃大腸小腸三焦膀胱倉廩の本營居なり。 (略)能く糟粕を化し、味轉じて入出する者なり」

 「凡そ十一藏は膽に決を取るなり」

 と言った記載を提示され、腑はひとつのものとして太極として捉えられている側面と、十一臓が胆によって調整されている側面などを紹介してくださいました。

 胆の腑に関しては、金澤先生が胆の臓象学において臨床に則して詳しく解説してくださるそうです。


 そして午後からは引き続き、稲垣先生による『傷寒論から学ぶ六経病』

 今回は<太陽表寒証>。 主に麻黄湯を取り上げ、麻黄、杏仁、葛根などの生薬の作用を通じて、人体の病邪の種類、さらに鍼を用いてはどのように捉え、治療するのかと言ったことを講義くださいました。

 また麻黄は発汗=瀉法の薬であることから、麻黄を含んだ一般市販薬を漫然と投与することの危険性についても触れられ、漢方は安全という世間一般の認識の誤りを指摘されました。

 漢方薬が保険適用され、手軽に服用できる反面、西洋医学的な診立てから処方箋が出されているのが大半です。
 実際、これで良くなると言われれば、患者さんはそれを信じて服用を続けてしまうでしょう。ですが、瀉法薬である麻黄を含む薬剤は、あくまで単発~短期間の服用に止めて置く。このことの意味は、十分理解しておかなくてはなりません。

 受診されている患者さんが服用している漢方薬に対する正確な知識が要求されるのです。

 毎回感じることですが、このような観点からもやはり『傷寒論』は、鍼灸家にとって必須だと思いました。

生薬見本

 

 そして金澤先生による『臓腑経絡学』。今回は<脾の臓>。

金澤秀光 一の会・代表


 手の指でVサインが出来るのに、足ではなぜできないのか??

・・・なぜでしょう?考えたことがないです・・・そのような当たり前と思っていることを経絡流注で解かれました。

 下肢に流注している経絡は、相互に交差しており、とりわけ足の甲は複雑に交わっている。
それに比べて上肢の経絡流注は、絡脉を除いてほぼ真直ぐに流注し、五指に単独で流れています。

 また足と違い、手の甲では全く交差していない。

 このことから導き出されるのは、陰は濁気であるため混在し、足の三陰三陽はひとつとなって主に大地の如く身体を支えることが主な目的である。

 反対に陽は清気であるため混じることが無く、手の三陰三陽は天の代行として細かなことを行うのがその主な目的である。

 なるほど・・・


 また、五労のうち、脾は久坐すると傷れるのであるから、座位で手と目を多く使う現代人の労働形態は、脾を傷りやすいだけでなく、気逆を起こしやすいことなどを話されました。

 さらに脾募:章門穴が足厥陰肝経に属していることを考えると、肝脾同病の状態が現れることがわかります。

 その際、肝兪・胆兪・太衝・丘墟、脾兪・胃兪・太白・衝陽などの穴所の反応を中心に、その他の臨床所見と合算すると、中心となる虚実が明確になると話されました。

 加えて、肝脾同病の虚実のバリエーションについて、方剤学を知識として持っておくと、かなり正確に病態把握することができる。ゆえに方剤学は必須であるとも説かれました。

 ちなみに肝脾同病の方剤として代表的なものといえば、当帰芍薬散、芍薬甘草湯、逍遙散、四逆散などが挙げられます。

 一口に肝脾同病と言っても、そこに関わる病邪の種類と、臓腑相互の虚実関係によって多様になりますね。

 今後、稲垣先生が『生薬から学ぶ人体と病』講義において、方剤を取り上げて解説して下さる予定ですので、一の会の皆様は足厥陰肝経流注などをおさえておかれると、より理解が進むと思います。


 そして最後はやはりこの人、永松先生による『一之道術

講義風景


 二人一組になり、
  • 力を抜いて(脱力ではありません)、
  • 互いの気を感じながら、
  • 自分の軸をずらさずに、
  • 相手の軸をずらす。
練習です!

実技風景
実技風景
実技風景


 毎回、ゲーム感覚で楽しんでいます。

 遊びながら、切診・刺鍼は言うに及ばず、対人関係にまで通じる 奥の深いものを今回もまた感じました。


次回、「一の会・東洋臨床医学講座」は 8/28(日)です。



(「養生講座」は 9/10(土)に行います。)




一の会