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ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

2016年度 第5回「一の会・東洋医学講座(臨床)」活動報告

 朝晩が涼しく感じられ、秋めいてきたかと思ったのも束の間、台風に伴う熱気と湿気。。
季節が逆戻りしたかのようですね。

 8月28日の臨床講座当日も、朝は爽やかに感じられたのですが、徐々に湿度の高さを感じる気候となりました。

 湿度が高いと、やはりだるいような眠いような、シャキンとしない感じがします。身体に湿気を多くためている方は、より顕著に感じられると思います。

 さて、トップバッターの永松先生、そんな湿邪を吹き飛ばすかのように元気よく、講座のスタートを切って下さいました。
永松周二先生

 今回は、『五運六気』の簡単な紹介から。

 簡単といっても、これまでの内容をある程度理解していないと、ついて行くのが大変です。

 復習を兼ねて、少し書いてみます。


 大地の気は 木・火・土・金・水 五運ですが、これは天の十干=天干が地の五運に降りて作用することにより盛衰します。

 一方、天の六気風・寒・暑・湿・燥・火)は、地の十二支=地支が天に昇って陰陽を表すことにより盛衰いたします。

 図式化すると、以下のようになります。


天干十二支相関図



 これを理解するには、十干と十二支をすでに憶えておく必要があります。

 そして天干=十干に地運=五運を配当すると以下のようになります。









 これは、ひとまず丸暗記です。

 そして陽は大過、陰は不及ですので、書き加えますとこのようになります。

土運
甲・大過
己・不及
金運
乙・不及
庚・大過
水運
丙・大過
辛・不及
木運
丁・不及
壬・大過
火運
戊・大過
癸・不及


 また、地支=十二支に天運の六気を三陰三陽に配当すると、

 ➡ 少陰君火
 ➡ 太陰湿土
 ➡ 少陽相火
 ➡ 陽明燥金
 ➡ 太陽寒水
 ➡ 厥陰風木

 これも、現時点では覚えるしか手がありません。おそらく一通り学んだあとに、これらの配当の意味が分かってくるのではないかと感じていますが・・・


 これらを人体と相関させてみると、天地の間は陰陽の気が相交する場となり、三才思想につながります。

五運六気と人体


 このように自然と人間を相関させるのは、天人合一思想です。

 天の気と大地の気が交流し、その変化・盛衰が人体にどのような影響を与えるのかを予測するのですね。

 また人体だけでなく、農耕の民にとってその年の天候は死活問題であるが故に、このように易学から五運六気が発達したのでしょうね。

 今回の講義では金澤先生が永松先生を質問攻めにされていました。まるでマンツーマンのレッスンのようでした。



 次いで稲垣先生による、『生薬から学ぶ人体と病』。今回は「痰と その治療薬」について。

稲垣順也先生


 講義の冒頭、以下のようなチャートを示され、これまでの流れをざっと復習しました。

病因病理チャート

 食積・気滞・瘀血・内熱・内火は全て外因・内因・不外内因の三因が関わってくるため、その個々のケースについて、普段から色々とイメージトレーニングを重ねておくのが大切であると。

 そして今回は、病理産物としての『痰』について。

 痰は、痰飲から形成されるものです。

 ところが『痰』と一括りに言っても、津液に近いものから粘性の高い固形化したものまで、様々なバリエーションがあります。

 そのバリエーションを具体的に認識するには、痰を治するとされている生薬の効能と方剤から読み解いていくのが分かりやすいということです。

 栝楼実・貝母・桔梗・細辛・葶藶子・杏仁・半夏など、津液と痰に関する生薬の特徴、目標とする腹証などを照らし合わせながら解説して頂きました。

 有痰と言っても、津液を排泄するだけで良くなる場合。

 逆に痰を潤すだけで良くなる場合。

 清熱あるいは温補するだけで良い場合など。

 これはしっかりと整理しないと、なかなか自分のものにならないなと感じます。

生薬の解説 

生薬の解説 




 そして午後は、金澤先生の時事講義でスタートです。

金澤秀光先生


 永松先生の講義を受け、太極から演変。演変から太極へという流れを、具体的に解説して頂きました。

 易では、太極→両義→四象→八卦→六十四卦――と、微に入り細に入り複雑になってきます。

 そして最後は、また太極に戻り、自信をもって「決断」に至るわけです。

 医学的には、『証決定』という太極を立てるのですね。

 自信をもってこの『証決定』に至るために、様々な分野の学問・理論体系があるのです。

 「一の会」で取り上げている「臓象学」「経絡学」「中医学」「傷寒論」「易学」「身体学」などは、全て太極を意識しながら学び進むと、迷うことが無いのだと。
 
 
 そして、今期の講座も後半に入った今回、改めて「人はなぜ病むのか」「健康に生きるとは、どういうことなのか」を、治療者自ら自分に問いかけることの必要性を説かれました。

 その上で、やはり古典にその道を求めるべく、素問・上古天真論、霊枢・九鍼十二原論を解説下さいました。



 休憩の後、引き続き金澤先生による「臨床実技」

 講義の最中、なんと!あの永松先生が!体調を崩され横になっておられたので、急遽患者モデルになって頂きました。

金澤秀光先生 実技風景

金澤秀光先生 実技風景

 参加者の皆で、気色、脈、背部兪穴を診て、刺鍼前後の変化を確認しました。

 風湿の邪に侵されているとの診立て。

 右肝兪の虚を根拠に、気滞表証と判断して身柱穴に横刺、瀉法。

 すると肝兪の虚が見事に浮いて参りました。虚であるからと言って、単純に補うわけではないのです。

 わずか一本の鍼で、背部兪穴、脉、気色が大きく変化したのには、皆さん驚きでした。

 先生は直ぐに復活され、最後の身体学へと移行しました。

 

 そして永松先生の『身体学』

 まずは ご自身の体調不良の解説から。

 自分の身体に起きたことの次第を、きちんと検証することの大切さを、楽しく面白く示してくださいました。

 そして今回は、呼吸に従って身体がどのように変化しているのか。その微妙な動きを察知する練習をしました。
実技風景

 確かに、呼吸に従ってかすかに上肢が外旋内旋・回内回外しているのが分かりました。

 呼吸ひとつで、身体全体が伸びたり縮んだりしているのですね。

 
永松周二先生 実技風景

 ところで永松先生、朝一番の『五運六気』講義の際、実はすでに大変お辛い状態であったにも関わらず、そんな様子を微塵も感じさせずに講義を終えられたのは、さすがというほかありません。


 今回もお疲れさまでした。ありがとうございました。



次回、「一の会・東洋基礎医学講座」は 9/11(日)です。

(「養生講座」は 9/10(土)に行います。)


一の会