ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

桂枝と肉桂

   桂枝と肉桂

 熱帯に生育するクスノキ科の常緑樹の樹皮で、一般的にはシナモンとして知られています。

 桂枝は樹木の細枝の部分、肉桂は幹の皮で、市販されているシナモンパウダーやシナモンスティックは、肉桂です。

 歴史は相当古いようで、wikipediaによると紀元前4000年ごろエジプトでミイラの防腐剤として使われていたらしいです。

 中国で最古の薬物書『神農本草経』(25=220年)にも記載されています。

 中医薬学では、

 桂枝 気味 辛甘温。

 肉桂 気味 辛甘 大熱 と区別されています。

 桂枝は細枝、肉桂は幹の皮。

 市販されているシナモンは、肉桂ですから幹の皮の部分。

 実際に、口にしてみますと、桂枝の味は薄くさほど辛く感じませんが、肉桂は味が濃くしばらく口の中に気味が留まる感じがします。

 気味辛温は、散の働きで温ですから、滞ったものを温めて散じて巡らしてくれるということですね。

 冬季に用いたい香辛料ですね。

 薬酒にすると、さらに桂枝の性質が発揮されそうですね。

 ただ温所に入るとすぐに顔が赤くなりのぼせ気味になる内熱傾向の方は、ひかえるのが良いかもしれません。

 吉益東洞はその著書「薬徴」の中で、李東垣(1180-1251)は、「味の薄いものは上行し、厚いものは下行するという説を立ているが、憶測だから従うべからず」と言っています。

 筆者の口中の感覚では、李東垣の説を支持したいところですが、徹底した実証主義の東洞先生ですから、実際の薬味の性能・働きは、そんなに変わらないのかもしれません。

 これは生姜と干生姜についてもいえるかもしれません。(生姜についてはいずれ書きます)

 そもそも東洞先生は、人により主張することが異なる薬の気味などは、当てにしてはならないと言っています。

 実際現代では、桂枝と肉桂は使い分けされていないようで、ほとんど肉桂が用いられているようです。

 その東洞先生、桂枝はヒリヒリとするくらい辛辣なものが良いとしています。

 なるほど、それこそが桂枝の効能の性質なのですね。

 とりわけ古方派は、身体に現れた現象に対して用いています。

 ちなみに、桂枝は「衝逆を主冶する」と述べられています。

 下から上へと激しく気が衝き上がって来る状態に用いるということですね。

 ここは、非常にありがたい定義です。