ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

37.太陽病(中) 37条 太陽病、十日以去

三七

太陽病、十日以去、脉浮細而嗜臥者、外已解也。設胸滿脇痛者、與小柴胡湯。脉但浮者、與麻黄湯。七(用前第五方)。

太陽病、十日を以て去り、脉浮細にして嗜臥(しが)する者は、外已(すで)に解(げ)するなり。設(も)し胸滿脇痛する者は、小柴胡湯を與う。脉但(た)だ浮の者は、麻黄湯を與う。

 この条文は、十日を以て去り」を文頭に、以下の三段階に分けてつなげることが出来ます。

 「十日を以て去り」

 ①脉浮細にして̪嗜臥する者で、表証が解けたもの。

 ②胸脇苦満で小柴胡湯を与えるもの。

 ③ただ脈が浮である者で、麻黄湯によろしい状態。

 まず太陽病になって10日以上経過しているのですから、そのまま治癒に向かう場合や他経に伝変している場合など、様々なことが想定できます。

 ①は表証は解けているので、そのまま治癒に向かうと思われます。ただ脉浮細で嗜臥(横に寝たがる)する状態は、少陰病を思い起こさせます。

 少陰病の綱領は、「脉微細、但欲寝也」です。

 少陰病ではなくても、この10日間で相当正気が傷られただろうと想像できますので、これからさらに治療が必要な場合と、適切な養生で治癒に向かう場合とが想定できます。

 ②は、10日くらい経過して、胸脇苦満が現れたのなら小柴胡湯証であると判断しなさいということです。

 胸脇苦満とは、胸と脇の部位で正邪がせめぎあって膨満・緊張している状態ですね。

 さらに季肋部だけではなく、胸全体から脇にかけての広い部分に緊張が現れていることを胸脇苦満と表現しています。

 小柴胡湯証の症候は、96条で再度おこないます。

 方意だけ少し述べます。

 大棗・甘草で胸脇の緊張を緩めます。

 柴胡で膈を開きます。

 生姜・半夏で水と痰を動かして胃気を和します。

 黄芩で心下を清熱利湿し、人参で心下に水を集めます。

 人によっては、別の理解・見方をされるかもしれませんね。

 

 小柴胡湯を服用した後の反応は、素体の状態によってバリエーションがあります。

 ですからどのような経過をたどって治癒するのか、あらかじめ予測することが出来ますし、予測しておく必要があります。

 予測する手がかりは、96条の条文中に多用されている「或いは~」という表現にあります。

 少し考察して下さればと思います。 

 その際に、以下の事を意識してみてください。

 小柴胡湯で膈(少陽枢機)を開いて通じさせることで、上下の流通が円滑になります。

 そのことで、邪がどのように動いて、どこから排出されるかです。

 

 小柴胡湯の方剤構成、ややこしいです。

 ちなみに鍼灸だとこの病理を理解していると、おおよそ1本もしくは2本で済みます。

 

 ③は、10日以上経過しても、まだ麻黄湯証の場合があることをのべたものです。

 10日以上ということは、慢性的な経過をたどっているので、35条の麻黄湯証ほどはっきりとした症候は現れていないかもしれません。

 だからこそ、麻黄湯証全体の病理と個々の症状の病理との関係をしっかりと理解しておく必要があります。

 〔小柴胡湯方〕

柴胡(半斤) 黄 人參 甘草(炙) 生薑(各三兩切) 大棗(十二枚擘) 半夏(半升洗)

右七味、以水一斗二升、煮取六升、去滓、再煎取三升、温服一升、日三服。

柴胡(半斤) 黄芩 人參 甘草(炙る) 生薑(各三兩切る) 大棗(十二枚擘く) 半夏(半升洗う)

右七味、水一斗二升を以て、煮て六升を取り、滓を去り、再び煎りて三升を取り、一升を温服し、

日に三服す。