ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

44.太陽病(中)40条 小青龍湯(4)薬剤吟味

 今回は小青龍湯で新たに出てきた薬剤の解説にとどめます。

 細かく見るときりがないので、ざっくりと参ります。

 ①桂枝・麻黄 辛温で表を解きます。

 ②細辛・乾姜・半夏 辛温で裏の水と痰を動かします。

 酸温の五味子の働きが、今ひとつしっくりとしないのですが、増補薬能では腎の水火を和合させ、気の減り散りたるを治すると記されています。

 他の記述を総合すると、気を引き降ろす作用があるのでしょうか。

 結果として腎納気に働いて咳と冒を治めると考えてみました。

 小青龍湯は瀉剤ですが、酸微寒の芍薬と酸温の五味子を以て補い、瀉法がより有効に働くようにとの配慮ではないかと考えています。

 以下に薬能を知るために調べた内容を記しています。

 半夏に関しては、稻垣先生が大変興味深い解釈をされています。

 中医学では燥湿化痰・豁痰作用と解説されています。

 ところが稲垣先生は、固まった痰を水に戻す気の働きがあるとし、だからその水を動かすために生姜がペアとして使われる場合が多いと解釈されています。

 半夏は有毒なのですが、一般的に生姜は解毒するためにペアとして使われると解説しているものがほとんどで、何となく納得できないものを感じていたのですが、これですっきりとした感じがします。

 以下の薬剤に目を通して頂いて、気の働きをイメージして頂けたらと思います。

細辛 気味辛温

薬徴:細辛主治、宿飲停水也。故に水気心下に在りて咳満し、或いは上逆し、或いは脇痛するを治す。

新古方薬嚢:中を温め、寒を去り、痛みを除き、痰を消し、咳嗽を治す。

・五味子 気味酸温

薬徴:咳而冒するを主る。

新古方薬嚢:咳を治し小便を調え冒を治す。冒とは、鬱冒のことにて頭をすっぽりと被せ包まれたるが如き感じを云う。

・乾姜 気味辛温

生姜を湯通しして干したものと、湯通しせずそのまま干したものがある。

湯通ししたものは、じわじわと深き辛味がある。

そのまま干したものは、直ちに強い辛味がある。

薬徴:結滞水毒を主治する。傍ら嘔吐、咳、下痢、厥冷、煩躁、腹痛、胸痛、腰痛をつちす。

新古方薬嚢:乾姜 散辛化して歛辛となる。生姜は進むことを主り、乾姜は守ることを主る。乾姜は深きを温むる効あり、故に厥を回し下痢を止め嘔を治す。

・半夏 気味辛温

 薬徴:痰飲、嘔吐を主治するなり。傍ら心痛、逆満、咽中痛、咳悸、腹中雷鳴を治す。

新古方薬嚢:気を補い水を去る。故によく嘔吐、腹中雷寧、咳逆などを治す。また咽痛を治す。

 

〔小青龍湯方〕

麻黄(去節) 芍藥 細辛 乾薑 甘草(炙) 桂枝(各三兩去皮) 五味子(半升) 半夏(半升洗)

右八味、以水一斗、先煮麻黄減二升、去上沫、内諸藥。煮取三升、去滓、温服一升。

、去半夏、加樓根三兩。

若微利、去麻黄、加蕘花、如一子、熬令赤色。

若噎者、去麻黄、加附子一枚、炮。

若小便不利、少腹滿者、去麻黄、加茯苓四兩。

若喘、去麻黄、加杏仁半升、去皮尖。

且蕘花不治利、麻黄主喘、今此語反之、疑非仲景意。

(臣億等謹按小青龍湯大要治水。又按本草蕘花下十二水、若水去利則止也。又按千金形腫者應内麻黄、乃内杏仁者、以麻黄發其陽故也、以此證之、豈非仲景意也。

麻黄(節を去る) 芍藥 細辛(さいしん) 乾薑 甘草(炙る) 桂枝(各三兩、皮を去る) 五味子(半升) 半夏(半升洗う)

右八味、水一斗を以て、先ず麻黄を煮て二升を減じ、上沫を去り、諸藥を内れ。煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服す。

若し渴すれば、半夏を去り、栝樓根(かろこん)三兩を加う。

若し微利(びり)すれば、麻黄を去り、蕘花(じょうか)、一雞子(いちけいし)の如きを熬(い)りて赤色ならしめ加う。

若し噎(いっ)する者は、麻黄を去り、附子一枚を炮(ほう)じて加える。

若し小便不利し、少腹滿する者は、麻黄を去り、茯苓四兩を加える。

若し喘すれば、麻黄を去り、杏仁半升を皮尖を去りて加える。

且つ蕘花(じょうか)は利を治せず、麻黄は喘を主る、今此の語之に反す。疑うは仲景の意にあらず。

(臣億等謹按小青龍湯大要治水。又按本草蕘花下十二水、若水去利則止也。又按千金形腫者應内麻黄、乃内杏仁者、以麻黄發其陽故也、以此證之、豈非仲景意也。)