ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

人参について(2)

 前回ブログ、人参について(1)から随分と日にちが経ってしまいました。 

 薬用ニンジン、薬徴では、心下が非常に堅く緊張している「心下痞鞕」を主冶するとあります。

 これらを併せて単味の独参湯が「大病・久病・大出血・激しい吐瀉などで元気が虚衰して生じるショック状態で脈が微を呈する時」に、なぜ有効なのだろうと考察してみました。

 例えば大出血後、もっとも血液を必要とする所は心の臓です。

 心停止は、即死を意味しますので。

 そうしますと、心下は気血が虚となって心下痞鞕が現れるはずです。

 そこで人参を服用することで、脾の臓が気血を生み出すまでの間、全身の気血・津液を心下に集めることで、救急に心の臓を助けようとするのではないかと。

 つまり心下は、乾いたスポンジ状態になって痞鞕しているということです。

 人参の気味は中医学では、甘微苦微温で、気血津液の不足全てに使用できるとあります。

 薬徴では、苦味のものでないと人参はその役目を果たさないとしています。

 中医学的には、苦味は、泄(降・瀉)、乾、堅の働きがあるとされています。

 新古方薬嚢では、苦味は緩みたるを引き締むるの能ありとしています。

 これらの記載を参伍すると、中焦脾胃に納まった人参は、その苦みで全身を引き締め、気血・津液を心下に集める薬能があると考えるのは、過ぎていますでしょうか。

 このように考えたのは、津液の不足であるならば飲水をすれば良いわけですし、人参を服用してすぐに気血の絶対量が増える訳ではないはずだからです。

 ちなみに飲酒家の筆者は、痰飲を持っていますので、韓国のお土産にもらった高麗人参茶を飲むと心下が脹り、食欲がなくなり、かなり不調になります。

 人参は、痰飲を持ってる人には、やはり禁忌だな~ということを実感を持って体験しています。

 稻垣先生は、多湿の日本では、人参を用いるのは慎重にするべきだと言っておられますが、なるほどと納得しました。

 健康食品として色々出回っていますが、人参を服用すると、心下に水が溢れかえりますので、痰飲をお持ちの方はご用心ください。

 薬徴に、人参の腹証は、心下痞鞕とあるとおり、心下の状態を目付処にすればいいと思います。

  もう一つ、人参の栽培方法が、人参の薬能にも表れているのではと思いましたので掲載しておきます。

 栽培にとても手間がかかる高麗人参

 約10年かけて土づくりをし、6年栽培して収穫した後は、どんな植物も育たないと言われているそうです。

 それは、周囲の土壌中の養分を集め、吸い尽くすからだと言われているそうですが、その力たるや恐るべしですね。

 人体にあっても、全身の気血・津液を中焦に集める力が強力なのでしょう。