ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

105.太陽病(下)149条 半夏瀉心湯

一四九条

傷寒五六日、嘔而發熱者、柴胡湯證具、而以他藥下之、柴胡證仍在者、復與柴胡湯。

此雖已下之、不為逆、必蒸蒸而振、却發熱汗出而解。

若心下滿而痛者、此為結胸也、大陷胸湯主之。

但滿而不痛者、此為痞、柴胡不中與之、宜半夏瀉心湯。方十五。

傷寒五、六日、嘔して發熱する者は、柴胡湯の證具(そな)わる、而(しか)るに他藥(たやく)を以て之を下し、柴胡の證仍(な)お在る者は、復た柴胡湯を與う。

此れ已に之を下すと雖も、逆と為さず、必ず蒸蒸(じょうじょう)として振(ふる)い、却って發熱汗出でて解す。

若し心下滿して鞕痛(こうつう)する者は、此れ結胸を為すなり。大陷胸湯之を主る。

但だ滿して痛まざる者は、此れを痞(ひ)と為す、柴胡之を與(あた)うるに中(あた)らず。半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)に宜し。方十五。

  この条文、錯簡や後人が書き加えたものが紛れ込んでいるのか、さては欠落があるのでしょうか、なかなかややこしいので、意訳しながらちょっと整理してみます。

 

傷寒五、六日、嘔して發熱する者は、柴胡湯の證具(そな)わる

 傷寒に罹って5・6日が経過したところ、吐き気がして依然として発熱しており、柴胡湯証と判断するに足りる症候が確認できる。

 おそらく、胸脇苦満であるとか往来寒熱、黙々として飲食を欲せず、などの証候があるのでしょう。

 

而(しか)るに他藥を以て之を下し

 ところが緊急を要する腑実があったのか、他薬でこれを下した。

 ここから、下した後の変証に対する対処が記されています。

 

柴胡の證仍(な)お在る者は、復た柴胡湯を與う。

 此れ已に之を下すと雖も、逆と為さず

 必ず蒸蒸(じょうじょう)として振(ふる)い、却って發熱汗出でて解す。

 それでも柴胡湯の証があれば、柴胡剤を与えるのがよい。

 すでに下法を用いたとしても、病位が落ちていないので逆治とは言えない。

 柴胡剤を与えると、少陽枢機が通じるので内熱が蒸し上がるようになるが、汗が出るまでは悪寒戦慄する。

 そしてさらに発熱するようになり、太陽病にまで病位が戻ると発汗解肌して治癒するのである。

 

若し心下滿して鞕痛する者は、此れ結胸を為すなり。大陷胸湯之を主る。

  ところが下した後、結胸になってしまった場合には、水熱互結の大陥胸湯証ですよと言う事ですね。

 93.太陽病(下)128-131条 大陥胸丸

 

但だ滿して痛まざる者は、此れを痞と為す、柴胡之を與(あた)うるに中らず。半夏瀉心湯に宜し。

 下した後、心下が満であっても硬くなく、自覚的に痛まないのは痞である。胸脇苦満が無いのであれば、柴胡湯証では無く、半夏瀉心湯証であろう。

 痞(ひ)とは、自覚的に「つかえる」感じのするもので、痛むというほどではないけれど、何となくすっきりとしない感じだと思います。

 条文の意訳は、こんな感じでしょうか。

 下図は、腹証奇覧からのものです。

        f:id:ichinokai-kanazawa:20180212100949j:plain

 次回は、小柴胡湯と半夏瀉心湯を比べて、もう少し半夏瀉心湯の症候をつかみたいと思います。

 腹証奇覧翼の腹診図をみると、何やらもう少し複雑そうです。

 150条と151条は、原文と読み下し文のみの掲載です。

 

〔半夏瀉心湯方〕

半夏(半升洗) 黄 乾薑 人參 甘草(炙各三兩) 黄連(一兩) 大棗(十二枚擘)

右七味、以水一斗、煮取六升、去滓、再煎取三升、温服一升、日三服(一方用半夏一升)。須大陷胸湯者、方用前第二法。

半夏(半升洗う) 黄芩 乾薑 人參 甘草(炙る、各三兩) 黄連(一兩) 大棗(十二枚擘く)

右七味、水一斗を以て、煮て六升を取り、滓を去り、再煎して三升を取り、一升を温服し、日に三服す(一方に半夏一升を用うと)。大陷胸湯を須(もち)いる者は、方前の第二法を用う。

 

一五〇条

太陽少陽併病、而反下之、成結胸。心下、下利不止、水漿不下、其人心煩。

太陽と少陽の併病(へいびょう)、而(しか)るに反って之を下し、結胸と成る。心下鞕(かた)く、下利止まず、水漿(すいしょう)入らず、其の人心煩(しんはん)す。

一五一条

脉浮而緊、而復下之、緊反入裏、則作痞。按之自濡、但氣痞耳。

脉浮にして緊、而(しか)るに復た之を下し、緊反って裏に入れば、則ち痞を作(な)す。之を按じて自(おのずか)ら濡(なん)なるは、但だ氣痞するのみ。