ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

活動報告ー4月 臨床医学講座スタート

 好天に恵まれた4月22日、大阪・南森町にあります大阪医療技術学園専門学校の教室をお借りして、2018年度の臨床医学講座が始まりました。

 

 午前中は、稻垣座長による時事講義。

 三年間に渡る ある患者様とのかかわりを、ドキュメンタリータッチで披露。

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 患者の主訴は、運動器疾患です。

 発達障害を持つお子さんを、女手ひとつで懸命に働きながら育ててこられました。

 初診時の患者の状態は、精神状態も悪く半ば錯乱しており、問診の信憑性も欠く中での治療は困難さを極めたであろう様子が伝わってきました。

 

 彼女にとって、この疾患が人生上において、どのような意味を持っているのか。

 彼女のこころに、今のこの現実世界がどのように映っているのか。

 この疾患が、彼女にとってプラスの面を持つならば、それは何か。

 

 治療者として、自身の中で生じる疑問・葛藤と向かい合いながら、この三年の間、患者を裁くことなく寄り添うように診療を重ねてきたことで、ようやく患者の精神状態は落ち着きを取り戻し、主訴も軽減してきています。

 稻垣座長の根気の良さ、どこまでも一貫して患者を理解しようと努める姿勢は、大いに学び・倣うところだと筆者は感じました。

 

 『鍼道 一の会』は、単に病だけに焦点を中てる疾医ではなく、治療者・患者が互いに「人が生きることの意味を問う」、言うなれば宗教医学の立場を目指しています。

 

 その観点から、「鍼道 一の会」臨床医学講座の冒頭にふさわしい症例だったと感じています。

 

 そして参加者の方からは、下半身の運動器疾患であるにもかかわらず、上焦の手厥陰・手少陰の治療穴を用いているのはなぜか、という質問がありました。

 ここは、筆者も語らせて頂きました。

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 「こころ」と「からだ」と言葉を用いて、あるいは図示すると、どうしても分けることになってしまいます。

 ところが人というのは、こころとからだを分けることのできない「ひとつ」の存在であります。

 こころの状態はからだに現れますし、からだの状態は即ちこころの状態なのです。

 

 また同時に、目に見える現象(症状)と、本質(病因)は、必ずしも一致するとは限りません。

 ここで、心眼を開くということが治療者に求められるのです。

 下半身の運動器疾患に手厥陰・手少陰を用いた理由はその辺りにあります。

 

 また午後の冒頭、永松副代表による時事講義「守・破・離」でも、それに関連した話題を取り上げて頂きました。

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 守とは、形。

 武道でいえば、型になります。

 いわゆる基礎です。

 最初は まず形・型を覚え、常にそれを意識しながら修練します。

 そうするといずれ意識せずとも形・型を崩すことなく行えるようになります。

 ここから、ようやく次の段階に進むことが出来ます。

 

 破とは、形・型を状況に応じて自在に変形・応用できるようになること。

 このあたりから、何事も面白く感じられるようになるのではないでしょうか。

 

 離は、無意識・自在の境地です。

 型はすでに無意識レベルに落とし込まれているということですね。

 自在といってもでたらめではなく、ちゃんと理が備わっている、「道」に至った境地です。

 

 午前の講義にもありましたように、こころの状態を観て身体の状態を察知し、身体の状態を観て心の状態を察知する・・・言葉で書くと、どうしてもこのようになってしまいます。

 が、これも修練、トレーニングとして日々取り組めば、必ずや自分のものとなって参ります。

 同じ場の「気」を共有された皆様には、ちゃんと伝わっていると感じております。

 

 そして午後からは、「一の会」問診表を用いて自己弁証のトレーニング。

 まずは自らの状態を記入して頂きました。

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 自己弁証をするにあたり、押さえるべきポイントについて、今期から参加された方々には、講師4人がフル稼働でサポート致しました。

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 そして仕上げは、経年参加者の方に、ご自身の心身の状態を弁証した内容を発表して頂きました。

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 NA先生は、ご自身が尿管結石を発症された経緯からの気づきをシェアしてくださいました。

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 NI先生は、ご自身を<木性>と称され、伸び伸びできないでいると、疲れたころに百会から膀胱経に沿って腰にまで痒みが出ると。

 痒みは、掻くと早々に消失するため、陰邪の存在は否定されます、と考察。

 (NI先生には、5月の基礎講座より経絡学の講師としてデビューしていただきます。

 伸び伸びとした講義を、期待しています!)

 

 そして、元中学校体育教師の尾関先生。

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 「はい!では・・・」と話されるこの「はい!」で、場の空気が一変して話に引き込まれました。

 場の気を瞬時に変える術というか技といいますか・・・さすが!です。

 気になる弁証内容はヒ・ミ・ツです。笑

 

 臨床医学講座初日、みなさまのお陰で和気藹々と終始和やかな雰囲気で過ごすことが出来ました。

 

 次回の臨床講座は、望診術です。

 今回作成したカルテを元に、ペアになって順次カルテを完成させていく流れになります。

 参加者の皆様、そして実技室をお貸しくださいました大阪医療技術学園専門学校の関係者の皆様、ありがとうございました。

 

 次回『鍼道 一の会』東洋基礎医学講座は5月13日、臨床医学講座は5月27日です。

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