ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

114.太陽病(下)159条 赤石脂禹餘粮湯

一五九条

傷寒服湯藥、下利不止、心下痞、服瀉心湯已、復以他藥下之、利不止。

醫以理中與之、利益甚。理中者、理中焦、此利在下焦、赤石脂禹餘粮湯主之。

復不止者、當利其小便。赤石脂禹餘粮湯。方二十二。

傷寒、湯藥服して、下利止まず、心下痞鞕す。瀉心湯を服し已(おわ)り、復た他藥を以て之を下すに、利止まず。

醫理中(りちゅう)を以て之に與(あた)うるに、利益々甚し。理中なる者は、中焦理(おさ)む、此の利は下焦に在り、赤石脂禹餘粮湯(しゃくせきしうよりようとう)之を主る。

復た止まざる者は、當(まさ)に其の小便を利すべし。赤石脂禹餘粮湯。方二十二。

  なかなか難解な条文です。

 傷寒に罹って本来なら発汗解肌するところを承気湯類を用いたのでしょうか、下利が止まらなくなって心下痞鞕となってしまったのですね。

 その後、瀉心湯類を服用させたところ、下痢は止まったのだけれども下したくなるような症候があったのでしょう、再度下法を用いたところ、またしても下痢が止まらなくなってしまった。

 そこで中焦を調える理中湯を与えたところ、さらに下痢が激しくなってしまった。

 理中湯は人参湯のことですので、薬剤構成は人参、白朮、乾姜、甘草です。

 なぜ人参湯で下痢が治まらなかったのでしょう。

 赤石脂は、酸化第二鉄を大量に含む粘土の塊。

 禹餘粮も粘土を内包する褐鉄鉱で、内部の粘土を用るとあります。

 下焦に問題がある下利で、なぜ附子などの温裏剤を用いないのでしょうか。

 <新古方薬嚢>で、赤石禹餘粮湯の用い方を調べてみました。

 「腸の中に熱を持ちて下痢する者。或いは便に血の混じるもの、或は下利回数多く胃のあたり痞へふさがりて食欲なきもの、乾姜等の入りたる薬を服して余計下利劇しくなる者等」とあります。

 この記述から、場合によっては営分の熱利かも知れませんね。

 また両薬とも粘土ですので、土で下利(水)を堰き止めるといったイメージでしょうか。

 えらいもの、薬として使いますねぇ、服用するとどんな味がするのでしょうね。

 ただ、それでも下痢が治まらない場合は、小便利に持って行きなさいとありますので、猪苓湯などを用いるのでしょう。

 本条文、これくらいしか理解できません。

 160条は、解説せず最後に原文と読み下し文のみ記載しています。

 

〔赤石脂禹餘粮湯方〕

赤石脂(一斤碎) 太一禹餘粮(一斤碎)

右二味、以水六升、煮取二升、去滓、分温三服。

赤石脂(しゃくせきし)(一斤、碎(くだ)く) 太一禹餘粮(たいいつうよりよう)(一斤、碎く)

右二味、水六升を以て、煮て二升を取り、滓を去り、分かち温め三服す。

 

一六〇条

傷寒吐下後、發汗、煩、脉甚微、八九日心下痞、脇下痛、氣上衝咽喉、眩冒、經脉動惕者、久而成痿。

傷寒、吐下後(とげご)、汗を發し、虛煩(きょはん)し、脉甚だ微(び)に、八、九日にして心下痞鞕し、脇下痛み、氣上りて咽喉に衝(つ)き、眩冒(げんぼう)し、經脉動惕(どうてき)する者は、久しくして痿(い)と成る。