ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

132.陽明病 209~211条 轉失氣 大・小承気湯

【二〇九条】

陽明病、潮熱、大便微鞕者、可與大承氣湯。不鞕者、不可與之。

若不大便六七日、恐有燥屎、欲知之法、少與小承氣湯、湯入腹中、轉失氣者、此有燥屎也、乃可攻之。

若不轉失氣者、此但初頭鞕、後必溏、不可攻之、攻之必脹滿不能食也。

欲飲水者、與水則噦。其後發熱者、必大便復鞕而少也、以小承氣湯和之。不轉失氣者、慎不可攻也。小承氣湯。三(用前第二方)。

陽明病、潮熱し、大便微(すこ)しく鞕なる者は、大承氣湯を與うべし。鞕ならざる者は、之を與うべからず。

若し大便せざること六、七日なれば、恐らくは燥屎(そうし)有り。之を知らんと欲するの法は、少しく小承氣湯を與え、湯腹中に入り、轉(てん)失氣する者は、此れ燥屎有るなり、乃(すなわ)ち之を攻むべし。

若し轉失氣せざる者は、此れ但(た)だ初頭(しょとう)鞕く、後必ず溏(とう)す、之を攻むべからず。之を攻むれば、必ず脹滿し食すること能わざるなり。

水を飲まんと欲する者に、水を與えれば則ち噦(えつ)す。其の後發熱する者は、必ず大便復(ま)た鞕くして少なきなり、小承氣湯を以て之を和す。轉失氣せざる者は、慎んで攻むべからざるなり。小承氣湯。三(用前第二方)。

  この条文も長いですので、いくつかに分けて意訳します。

 ①陽明病となって潮熱が現れ、大便が少し硬くなった場合は大承気湯を与えるべきであるが、硬くなければ与えるべきでない。

 ②もし陽明病で潮熱が現れた上に、6~7日間便秘しているようであれば、恐らくすでに燥屎が形成されているであろう。

 慎重を期してこれを確認する方法は、小承気湯を与えてみて腸胃が動いて転失気=放屁するようであれば、燥屎ありとして大承気湯で攻下すべき証である。

 ③ところが放屁しないものが大便をすると、最初は硬いようでも最後になって泥状便となるものである。このような者は、太陰病であるから攻下してはならない。

 もし誤って攻下してしまったのなら、お腹は脹滿となり食べることさえできない状態となる。

 ④大承気湯で誤まって攻下してしまった後、水を飲みたがり飲水すると、噦(えつ)=しゃっくりするようになる。

 さらにその後、また潮熱するようになれば、必ず大便は硬くしかも量が少ないものである。このような場合、少し正気が回復してきたのであるから、小承気湯で胃気を和してやると良い。

 

 大承気湯証の場合、潮熱のために全身がじっとりとなるくらい発汗するので、大便も硬くなることは、理解できると思います。

 ところが、大承気湯と太陰病をあえて鑑別しなければならない病態もあると言う事をこの条文では述べているのだと思います。

 大承気湯で攻下する場合は、慎重にということだと思います。

 210条・211条は原文と読み下し文のみの掲載です。

 

【二一〇条】

夫實則讝語、虛則鄭聲。鄭聲者、重語也。直視、讝語、喘滿者死、下利者亦死。

夫(そ)れ實すれば則ち讝語(せんご)し、虛すれば則ち鄭聲(ていせい)す。鄭聲なる者は、重語(じゅうご)なり。直視し、讝語(せんご)し、喘滿(ぜんまん)する者は死す。下利する者も亦た死す。

 

【二一一条】

發汗多、若重發汗者、亡其陽、讝語、脉短者死。脉自和者不死。

汗を發すること多く、若し重ねて發汗する者は、其の陽を亡(なく)し、讝語(せんご)す。脉短(たん)の者は死す。脉自(おのずか)ら和す者は死せず。