ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

活動報告ー5月 臨床医学講座

 気持ちよく晴れました5月27日、大阪・南森町にあります大阪医療技術学園専門学校の教室をお借りしての臨床医学講座です。

 

 午前の時事講義は、稻垣座長による『弁証の概略』

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稻垣座長

 弁証の基になるのは、陰陽・表裏・寒熱・虚実<八綱>概念です。

 ここは必ず押さえておかなければ先に進むことが出来ません。

 そこから陰陽を除いた<六変>の概念を、極々かみ砕いて簡素にまとめ、分かりやすく、しかも臨床にすぐに結び付くように解説してくださいました。

 

 さらに臨床家を悩ませる『錯雑』について。

 

 例えば下図のように、気色・舌証・脉証と、寒証・熱証と横一列にそろっていれば、何も迷うことはありませんね。

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 ところが気色は蒼白、舌証も淡白であるのにもかかわらず、数脈を呈して冷飲を好む・・となると、どうでしょう?

 

 いったいどっちなのだ?・・迷いますよね。

 既に臨床をされている先生方はご承知のことだと思いますが、臨床において、いつもそれぞれの所見がぴったり一致するとは限りません。

 むしろ合わないことが日常茶飯事と言えます。

 

 では、どうすれば?――そんな疑問を一掃するかのように、座長曰く『寒熱・虚実』を明確にするには、病邪を特定し、それが身体空間のどこで留まっているのかを明らかにすることで観えてくる、と。

 

 さらに、いきなり臓腑弁証をしようとするのではなく、「気血津液弁証」レベルで しっかりと病態を把握する

 そうすれば、あえて臓腑弁証をしなくても、自ずと問題とすべき臓腑の状態が観えてくると。

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 これには筆者、唸ってしまいました。いつにもまして鋭い切り口で斬ってくれました稻垣座長。天晴です!

 参加者の多くからも、非常に分かりやすく納得できたとの声を頂いています。

 

 

 ↓休憩時間の一コマ。

 今回、望診術の講義をしてくださる永濱先生と稻垣座長、何やらなごやかに談義中。

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向かって左:稻垣座長 右:永濱先生

 筆者は遠くから見てましたが、実は永濱先生、大緊張されてたそうです。

 (講義を聞いている限り、とてもそのように感じませんでしたが・・・)

 

 

 続いて『四診理論』、今回は顔面の気色診(望診)と舌診です。その永濱先生にご登場いただきました。

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 先生のお人柄がにじみ出るかのような、朴訥とした語り口で丁寧に解説して頂きました。

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 参加者の方からは、永濱先生ご自身の言葉で語られたので非常に分かりやすく、しかも印象に残りましたとの声が多く寄せられました。

 「意図的に人の顔を観察する」という意識を、全員がお持ち下さったのではないかと筆者は感じています。

 

 「望んでこれを知るを、神と謂う」

  さあみなさま、これをどのように読まれますでしょうか。

 よ~し、俺は・私は、神になるぞ!ってのも有りだと思います。

 

 それにしても、写真のお顔に余裕さえ感じられる永濱先生、6月の臨床講座でも脈診の講義をしてくださるとのこと。どうぞよろしくおねがいいたします!!

 

 

 そして午後は実技に入ります。

 腰痛を起こされている方がおられましたので、モデルになっていただき、まずは筆者がデモを行うことに。 

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 参加者のみなさまにも実際に触れて頂きました。

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 まずは、ざっくりと大きく気の偏りをつかまえ、各所見との整合性がとれるように病理機序を組み立てます。

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 中府穴も、空間認識のためにはとても大事な経穴と捉えています。

 

 一通り診た後、筆者は鍼をかざすだけの『翳鍼(えいしん)』を披露いたしました。

 その後、最初の所見の変化を確認。

 ダイナミックに気が動きましたねぇ。

 腰痛が治まったのは、言うまでもありません。

 初めての方には驚きだったと思います、なにせ鍼を近づけただけなのですから。

 

 講座でも申し上げましたが、鍼は『刺激』のための道具ではありません。

 

 鍼先を近づけるだけでも、生身の身体は鍼を「危険な鋭利な物体」と認識し、自ら気を動かすのです。

 我々は、それを逆手にとって治療に結び付けるのです。

 鍼は、刺激・・・このような思い込みは、鍼灸医学が内包している大きな可能性を妨げてしまいます。

 

 そしていよいよ参加者のみなさま同士、お互いを診立て合う実技です。

 今回のテーマであります望診・舌診を中心に。

 筆者金澤、永松副代表、稻垣座長、江見先生がそれぞれのベッドを回り、実技指導を行いました。

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 金澤は、一部の方々にですが、「翳鍼」の手ほどきをしました。

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 鍼を刺すにしても翳すにしても、さほど難しいことではありません。

 手技だけならば簡単なものです。鍼灸を学ばずとも、誰でもすぐにできるようになります。

 

 それより、なにより大切なことは、やはり寒熱・虚実を明確にし、身体の空間の歪みを認識して、どこの気をどう動かすか・・・これです!

 

 実際、手ほどきをした先生方全員が、気を動かしておられました。

 楽しんでおられましたよ~、刺さなくても気が動くのですから、そりゃ楽しいですよね。

 

 『鍼道 一の会』は、自由自在に気を扱える、高度なプロ鍼灸師を目指す集団です。

 ご興味のある方は、是非一度『場の気』を感じにお越しください。

 

 

 参加者の皆様、そして実技室をお貸しくださっています大阪医療技術学園専門学校の関係者の皆様、ありがとうございました。

 

 次回『鍼道 一の会』東洋基礎医学講座は6月10日、臨床医学講座は6月24日です。

  『鍼道 一の会』についてのお問い合わせは、事務局 大上(おおがみ)まで

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