ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

161.太陰病 273条~275条 太陰病の綱領

【二七三条】

太陰之為病、腹滿而吐、食不下、自利益甚、時腹自痛。若下之、必胸下結鞕。

太陰の病為(た)るや、腹滿して吐し、食下らず、自利(じり)益々甚だしく、時に腹自ら痛む。若し之を下せば、必ず胸下結鞕(けっこう)す。

 いよいよ太陰病に入って参りました。

 この237条はすでに触れていますので、参考にして頂けたらと思います。

 78.太陽病(中)100条 小建中湯と小柴胡湯

 

  条文を意訳しますと、「太陰病というのは、お腹が満になって吐き、食を受け付けず自下利が甚だしく、時にお腹が痛む」というものです。

 その後に続く若下之、必胸下結鞕」は、後人の攙入と思われますので、削除してよいと思います。

 腹満は陽明病でも現れますが、太陰病の腹満は虚満ですので、望診でもはっきりと確認できます。

 なんとなく締まりがないと言いますか、ぼんやりとした感じです。

 舌苔は、化熱していなければ白苔です。

 そして場合によっては吐いたり、飲食物を受け付けなくなることが記されています。

 ここは少陽病との鑑別が必要ですね。(少陰病の正証を思い浮かべてくださいね。)

 本条では、「自利が益々激しい」とありますが、虚秘便秘の場合もあります。

 その場合は、最初はしっかりした便であっても、最後には緩くなるか泥状便(大便溏)となります。

 便の性状のバリエーションは、幅広いですので病理を理解しておいてくださればと思います。

 自利している場合は、少陰病・四逆湯類との鑑別が必要です。

 この太陰病レベルですと、四肢の厥冷にまで至っていないはずです。

 そして時々腹痛するのは、正気が持続的・継続的に邪気に対抗できない姿として理解することが出来ます。

 当然、痛みの程度も、そんなに激しくないでしょう。

 慢性雑病においても、このような状態が現れることがママあります。

 その際、虚実を明確にする必要があります。

 下利=虚と単純に捉えないことですね。

 274条と275条は、例によって条文と読み下し文のみの掲載です。

 

【二七四条】

太陰中風、四肢煩疼、陽微陰濇而長者、為欲愈。

太陰の中風、四肢煩疼(はんとう)し、陽微(び)陰濇(しょく)にして長の者は、愈(え)えんと欲すと為(な)す。

 

【二七五条】

太陰病欲解時、從亥至丑上。

太陰病解せんと欲する時は、亥(い)從(よ)り丑(うし)の上に至る。