ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

167.少陰病 301条 麻黄附子細辛湯

【三〇一条】

少陰病始得之、反發熱、脉沈者、麻黄細辛附子湯主之。方一。

少陰病始めて之を得て、反って發熱し、脉沈の者は、麻黄細辛附子湯(まおうさいしんぶしとう)之を主る。方一。

  この条文、短いので病態が今ひとつ掴み切れません。

 そもそも、少陰病で、「始めてこれを得て」の「これ」とは何なのでしょう。

 例によって方剤を見てみます。

〔麻黄細辛附子湯方〕

麻黄(二兩去節) 細辛(二兩) 附子(一枚炮去皮破八片)

右三味、以水一斗、先煮麻黄、減二升、去上沫、内諸藥、煮取三升、去滓、温服一升、日三服。

麻黄(二兩、節を去る) 細辛(二兩) 附子(一枚、炮(ほう)じて皮を去り、八片に破る)

右三味、水一斗を以て、先ず麻黄を煮て、二升を減じ、上沫を去り、諸藥を内れ、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服し、日に三服す。

 わずか三味の簡素な方剤ですが、薬徴から解いてみたいと思います。

 麻黄:「喘欬水気を主冶する」でした。

 麻黄湯を身て頂ければと思います。 35.太陽病(中) 35条 麻黄湯

 細辛:「宿飲停水を主冶する」41.太陽病(中)40条 小青龍湯(1)金匱の記述

 小青龍湯で述べています。

 附子:「水を逐うことを主る」 69.太陽病(中)91・92条 四逆湯(2)

 四逆湯を見てください。

 これらの三味の気味は全て辛温剤で、しかも水に関係していますね。

 麻黄は上焦の肌表の水。

 細辛は中焦の水。

 附子は下焦の水に関係しています。

 

 これらから、素体として元々痰飲を持っていて、体内の水が身体の陽気を阻んでいるところに表寒を受けてしまった状態と考えることが出来ませんでしょうか。

 ですので、発熱も現れていますし、脉沈は、陽気の衰退というよりも水が陽気を阻んでいる状態だと考えられます。

 だから発熱していると考えられます。

 ですから当然、発熱・悪寒はしていても、脈は浮とならずに沈となり、しかも脈微細にはならないのだとも推測できますよね。

 しかも本方に用いられている附子が、生ではなく炮附子であることからも水邪によって阻まれている陽気の衰退が軽微であることも分かると思います。