ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

168.少陰病 303条 黄連阿膠湯

【三〇三条】

少陰病、得之二三日以上、心中煩、不得臥、黄連阿膠湯主之。方三。

少陰病、之を得ること二、三日以上、心中煩して、臥(ふ)すことを得ざるは、黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう)之を主る。方三。

  条文の冒頭に「少陰病」とありますので、「脉微細、但寝んと欲す」ですから陽気虚衰の印象だと思いきや、心中煩で臥すことができない陽証のような症候が現れています。

 この陰証から陽証に転化する病理機序は、2・3日経過したのちに現れたという以外、説明されていません。

 ひょっとすると、282条 「少陰病形悉備」と関係があるのかもしれません。

 282条には「少陰病、吐せんと欲して吐せず、心煩し但だ寐(いね)んと欲し、五、六日自利して渴する者は、少陰に屬するなり。虛するが故に、水を引きて自ら救う。」と記されています。

 中医学的解釈を記します。<中医基礎学・燎原>

 「風寒が化熱して少陰に伝入するか、少陰の伏邪が外発し、邪熱が心火を上炎させ腎陰を灼消し、水不済火となった状態で、少陰病の変証である」と述べられています。

 風寒が化熱して少陰に伝入するというイメージが、今ひとつはっきりしません。

 推測してみます。

 一旦は少陰病で陽気衰亡状態に陥り、固摂作用が傷れて大小便と共に陰気が漏れ出てしまって、反って陰虚となったのでしょうか。

 もしくは、素体として陰虚傾向の人なのかもしれません。

 陰陽の場が小さくなり、さらに陽勝陰負の状態になったのではないかと。

 またこの黄連阿膠湯は、<温病条弁>「少陰温病、真陰竭きんと欲し、壮火また熾ん」の証候に用いられていますので、直接温邪が伝入したというのでしたらなんとなくイメージがつきます。

 今ひとつすっきしとしません。

 次回は、方剤を吟味してみます。この病態をもう少し明確にしたいと思います。

 

〔黄連阿膠湯方〕

黄連(四兩) 黄芩(二兩) 芍藥(二兩) 雞子黄(二枚) 阿膠(三兩一云三挺)

右五味、以水六升、先煮三物、取二升、去滓。内膠烊盡、小冷。内雞子黄、攪令相得。温服七合、日三服。

黄連(四兩) 黄芩(二兩) 芍藥(二兩) 雞子黄(けいしおう)(二枚) 阿膠(三兩、一に三挺(さんてい)と云(い)う)

右五味、水六升を以て、先ず三物を煮て、二升を取り、滓を去る。膠を内れて烊盡(ようじん)し、小(すこ)しく冷やす。雞子黄(けいしおう)を内れ、攪(ま)ぜて相(あ)い得(え)せしむ。七合を温服し、日に三服す。