ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

172.少陰病 306条~308条 桃花湯

【三〇六条】

少陰病、下利便膿血者、桃花湯主之。方六。

少陰病、下利して膿血(のうけつ)を便する者は、桃花湯(とうかとう)之を主る。方六。

【三〇七条】

少陰病、二三日至四五日、腹痛、小便不利、下利不止、便膿血者、桃花湯主之。七(用前第六方)。

少陰病、二、三日より四、五日に至り、腹痛し、小便利せず、下利止まず、膿血を便する者は、桃花湯之を主る。七(前の第六方を用う)。

 桃花湯、きれいな名前ですねぇ。

 方中の赤石脂が桃花の色のようであるところから名づけられているようです。

 膿血便にもちいられるとありますが、この条文も短すぎて病態がよく分かりません。

 冒頭に、「少陰病」とありますので、「脉微細、但寝ねんと欲す」なのでしょう。

 307条をみますと、少陰病に陥ってから2・3日から4・5日経過したころに、小便不利と共に、腹痛と膿血便の下利が止まらなくなったとあります。

 そして桃花湯です。

 方剤の中身、先ずは赤石脂です。

 赤石脂が用いられている方剤は、赤石脂禹餘粮湯というのがありました。

114.太陽病(下)159条 赤石脂禹餘粮湯

 やはり下利に用いられていましたが熱痢でしたね。

 桃花湯は、辛温の乾姜が入っていますので寒痢だと分かりますね。

 しかも尾台榕堂は、<類聚方広義>の中で、乾姜一両は少なすぎると主張しています。

 外台秘要に、乾姜4両とあるので、それに従って多用していると述べられています。

 中医学では、脾腎陽虚で起きた久痢不止に用いるとしています。

 それならば附子や肉桂、白朮を用いて温補利水するべきだと思うのですがどうなのでしょう。

 307条とは反しますが、なにか疫病などで下痢が続いて少陰病のような状態に陥り、とにかく先ず下痢を止めることが優先されるべき病態なのかもしれません。

 赤石脂は、収斂作用があり、直腸のしまりが悪くなって下痢する者に用いると、大塚敬節は述べています。

 朴庵こと荒木性次は、下痢してその中に血や粘液が混じって元気が無いものや、下利の中に膿や血をまじえて腹痛して小便の出が悪く、熱は高い低いがあるが元気が無くゴロゴロしたりウトウトと眠りたがるものが本証に多く、また下利は不活発なものが多いと述べています。

 下痢と共に、元気も漏れ出ているのでしょう。

 まず寒痢を止める。

 その後、余証に随って治せば良いと思います。

 308条は、原文と読み下し文のみの記載です。

 

 〔桃花湯方〕

赤石脂(一斤一半全用一半篩末) 乾薑(一兩) 粳米(一升)

右三味、以水七升、煮米令熟、去滓。温服七合、内赤石脂末方寸匕、日三服。若一服愈、餘勿服。

赤石脂(しゃくせきし)(一斤、一半は全用、一半は篩(ふる)って末とす) 乾薑(一兩) 粳米(一升)

右三味、水七升を以て、米を煮て熟せしめ、滓を去る。七合を温服し、赤石脂末方寸匕(ひ)を内れ、日に三服す。

若し一服にして愈ゆれば、餘は服すること勿(な)かれ。

 

【三〇八条】

少陰病、下利便膿血者、可刺。

少陰病、下利膿血を便する者は、刺すべし。