ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。

187.厥陰病 326条・337条 綱領

【三二六条】

厥陰之為病、消渴、氣上撞心、心中疼熱、飢而不欲食、食則吐蚘、下之利不止。

厥陰之病為(た)るや、消渴(しょうかつ)し、氣上りて心を撞(つ)き、心中疼(いた)み熱し、飢えて食を欲せず、食すれば則ち蚘(かい)を吐し、之を下せば利止まず。

  厥陰の病というのは、飲料を貪り飲みたくなる消渇があり、気が上逆して心胸に突き上がり、胸中が疼くように熱する。

 一方お腹は、空腹であるにもかかわらず食が進まず、強いて食べると吐いてしまう。(蚘の文字は除く)

 また陽明病と似ているので、誤治をして下法を用いると、下利が止まらなくなる。

 恐らく、止まらなくなった下利から少陰病位に行くのだと思われます。

 三陰経の病位の順序は、一般成書と異なり、太陰→厥陰→少陰→死となります。 

 

 消渇に関しては、五苓散や白虎湯などが思い浮かびますが、どうもそれらの証では無いことは、その他の証候を見ると明らかです。

 胸の疼きと煩熱、飢えて食を欲せず、食すると吐くのはそれぞれ虚実が錯綜している状態が考えられます。

 また、以下の337条を見ますと、手足が厥冷するものは、陰陽の気が交流しないからであると述べられています。

 上焦と下焦、内と外、いずれも空間的に乖離してしまった状態・交流しない状態と理解できます。

 ざっくりこんな感じでしょうか。

 表証は綱領がはっきりしていますが、少陽・厥陰部位に邪が侵入してくると複雑になるので、はっきり「こうだ」と言い切れない状態になるのでしょう。

 327条から336条は、原文と読み下し文のみです。

 

【三三七条】

凡厥者、陰陽氣不相順接、便為厥、厥者、手足逆冷者是也。

凡(およ)そ厥する者は、陰陽の氣相(あ)い順接せず、便(すなわ)ち厥を為(な)す、厥する者は、手足の逆冷する者是(こ)れなり 。

【三二七条】

厥陰中風、脉微浮為欲愈。不浮為未愈。

厥陰の中風、脉微浮なるとは愈えんと欲すと為す。浮ならざれば未だ愈えずと為す。

 

【三二八条】

厥陰病欲解時、從丑至卯上。

厥陰病解せんと欲する時は、丑(うし)從(よ)り卯(う)の上に至る。

 

【三二九条】

厥陰病、渴欲飲水者、少少與之愈。

厥陰病、渴して飲水せんと欲する者は、少少之を與えれば愈ゆ。

 

【三三〇条】

諸四逆厥者、不可下之。虛家亦然。

諸々の四逆して厥する者は、之を下すべからず。虛家も亦(ま)た然(しか)り。

 

【三三一条】

傷寒先厥後發熱而利者、必自止、見厥復利。

傷寒、先に厥し後(のち)發熱して利する者は、必ず自(おのずか)ら止む。厥を見(あら)わせば復た利す。

 

【三三二条】

傷寒、始發熱六日、厥反九日而利。凡厥利者、當不能食。今反能食者、恐為除中(一云消中)、食以索餅。不發熱者、知胃氣尚在、必愈。恐暴熱来出而復去也。後日脉之、其熱續在者、期之旦日夜半愈。

所以然者、本發熱六日、厥反九日、復發熱三日、并前六日、亦為九日、與厥相應、故期之旦日夜半愈。後三日脉之、而脉數、其熱不罷者、此為熱氣有餘、必發癰膿也。

傷寒、始め發熱すること六日、厥すること反って九日にして利す。凡(およ)そ厥利する者は當に食すること能わざるべし。今反って能く食する者は、恐らくは除中(じょちゅう)と為す。

食するに索餅(さくへい)を以て發熱せざる者は、胃氣尚(な)お在るを知る。必ず愈ゆ。恐らくは暴(にわ)かに熱来(きた)り出ずるも復た去らん。後日之を脉して、其の熱續(つづ)いて在る者は、之を期するに旦日(たんじつ)夜半に愈えん。然る所以(ゆえん)の者は、本(もと)發熱すること六日、厥とすること反って九日、復た發熱すること三日、前の六日を并(あわ)せて、亦(ま)た九日と為し、厥と相い應(おう)ず。故に之を期するに旦日夜半に愈ゆ。後三日之を脉して脉數(さく)、其の熱罷(や)まざる者は、此れ熱氣有餘(ゆうよ)と為す。必ず癰膿(ようのう)を發するなり。

 

【三三三条】

傷寒脉遲六七日、而反與黄芩湯徹其熱。脉遲為寒、今與黄芩湯復除其熱、腹中應冷、當不能食。今反能食、此名除中、必死。

傷寒脉遲なること六、七日、而(しか)るに反って黄芩湯を與えて其の熱を徹(てっ)す。脉遲は寒と為す。今、黄芩湯を與え復た其の熱を除く。腹中應(まさ)に冷ゆべし。當に食すること能わざるべし。

今反って能(よ)く食するは、此れを除中(じょちゅう)と名づく。必ず死す。

 

【三三四条】

傷寒、先厥後發熱、下利必自止。而反汗出、咽中痛者、其喉為痺。發熱無汗、而利必自止。若不止、必便膿血。便膿血者、其喉不痺。

傷寒、先に厥して後に發熱するは、下利必ず自(おのずか)ら止む。而(しか)るに反って汗出で、咽中痛む者は、其の喉痺(こうひ)を為す。發熱し汗無くして、利必ず自ら止む。若し止まざれば、必ず膿血を便す。膿血を便する者は、其の喉痺せず。

 

【三三五条】

傷寒一二日至四五日厥者、必發熱。前熱者、後必厥。厥深者熱亦深、厥微者熱亦微。厥應下之、而反發汗者、必口傷爛赤。

傷寒一、二日より、四、五日に至り、厥する者は、必ず發熱す。前に熱する者は、後必ず厥す。厥深き者は熱も亦(ま)た深く、厥微(び)の者は熱も亦た微なり。厥は應(まさ)に之を下すべし。而(しか)るに反って汗を發する者は、必ず口傷(やぶ)れ爛(ただ)れて赤し。

 

【三三六条】

傷寒病、厥五日、熱亦五日、設六日當復厥。不厥者自愈。厥終不過五日、以熱五日、故知自愈。

傷寒の病、厥すること五日、熱することも亦(ま)た五日、設(も)し六日には當(まさ)に復(ま)た厥すべし。厥せざる者は自(おのずか)ら愈ゆ。厥すること終(つい)に五日を過ぎずして、熱すること五日を以ての故に自ら愈ゆるを知る。