鍼灸師が読む 『傷寒論』
【三七五条】 下利後更煩、按之心下濡者、為虛煩也、宜梔子豉湯。方十六。 下利したる後更に煩し、之を按じて心下濡(なん)の者は、虛煩(きょはん)と為すなり、梔子豉湯に宜し。方十六。 374条で、大承気湯もしくは小承気湯を服用した後、実邪が除かれて…
【三七四条】 下利讝語者、有燥屎也、宜小承氣湯。方十五。 下利して讝語する者は、燥屎(そうし)有るなり、小承氣湯に宜し。方十五。 下利をして讝語するのですから、この下痢も熱痢の範疇に入りますね。 208条に「若腹大満して通ぜざる者は、小承気湯を与…
【三七三条】 下利欲飲水者、以有熱故也、白頭翁湯主之。十四(用前第十二方)。 下利し水を飲まんと欲する者は、熱有るを以ての故なり。白頭翁湯を之を主る。十四(前の第十二方を用う)。 この場合の下利は、熱痢でした。そして口渇が現れたのですから、や…
【三七二条】 下利腹脹滿、身體疼痛者、先温其裏、乃攻其表。温裏宜四逆湯、攻表宜桂枝湯。十三(四逆湯用前第五方)。 下利し、腹脹滿し、身體(しんたい)疼痛する者は、先ず其の裏を温め、乃ち其の表を攻む。裏を温むるは四逆湯に宜しく、表を攻むるは桂…
【三七〇条】 下利清穀、裏寒外熱、汗出而厥者、通脉四逆湯主之。方十一。 下利清穀、裏寒外熱し、汗出で厥する者は、通脉四逆湯(つうみゃくしぎゃくとう)之を主る。方十一。 通脈四逆湯に関しては、すでに317条で詳しく解説していますので、ここでは省略…
【三五九条】 傷寒本自寒下、醫復吐下之、寒格、更逆吐下。若食入口即吐、乾薑黄芩黄連人參湯主之。方十。 傷寒本(もと)自と寒下(かんげ)するに、醫復た之を吐下して、寒格(かんかく)し、更に逆して吐下す。若し食口に入らば即吐するは、乾薑黄芩黄連…
【三五六条】 傷寒厥而心下悸、宜先治水、當服茯苓甘草湯、却治其厥、不爾、水漬入胃、必作利也。茯苓甘草湯。方八。 傷寒厥して心下悸するは、宜しく先ず水を治すべし。當に茯苓甘草湯(ぶくりょうかんぞうとう)を服すべし。却って其の厥を治す。爾(しか…
【三五三条】 大汗出、熱不去、内拘急、四肢疼、又下利厥逆而惡寒者、四逆湯主之。方五。 大いに汗出で、熱去さらず、内拘急(こうきゅう)し、四肢疼(いた)み、又下利厥逆し惡寒する者は、四逆湯之を主る。方五。 自ずと大いに汗がでたのか、発汗させたの…
【三五二条】 若其人内有久寒者、宜當歸四逆加呉茱萸生薑湯。方四。 若し其の人内(うち)に久寒有る者は、當歸四逆加呉茱萸生薑湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)に宜し。方四。 352条は、前の351条を引き継いだ加減法です。 非常に長い方剤…
【三五一条】 手足厥寒、脉細欲絶者、當歸四逆湯主之。方三。 手足厥寒し、脉細にして絶せんと欲する者は、當歸四逆湯(とうきしぎゃくとう)之を主る。方三。 条文の冒頭に手足厥寒とあります。 これまで出て来た厥逆とか厥冷とは表現が異なっています。 ま…
【三五〇条】 傷寒脉滑而厥者、裏有熱、白虎湯主之。方二。 傷寒、脉滑にして厥する者は、裏に熱有り、白虎湯之を主る。方二。 傷寒で裏熱で白虎湯証ですが、厥証には寒厥と熱厥があるのですが、この場合は熱厥ですね。 厥陰病で現れる熱厥証。 これ、見破る…
【三三八条】 傷寒脉微而厥、至七八日膚冷、其人躁、無暫安時者、此為藏厥、非蚘厥也。 蚘厥者、其人當吐蚘、令病者靜、而復時煩者、此為藏寒。蚘上入其膈、故煩、須臾復止。 得食而嘔、又煩者、蚘聞食臭出、其人常自吐蚘、蚘厥者、烏梅丸主之。又主久利。方…
【三二六条】 厥陰之為病、消渴、氣上撞心、心中疼熱、飢而不欲食、食則吐蚘、下之利不止。 厥陰之病為(た)るや、消渴(しょうかつ)し、氣上りて心を撞(つ)き、心中疼(いた)み熱し、飢えて食を欲せず、食すれば則ち蚘(かい)を吐し、之を下せば利止…
【三二四条】 少陰病、飲食入口則吐。心中温温欲吐、復不能吐。始得之、手足寒、脉弦遲者、此胸中實、不可下也、當吐之。 若膈上有寒飲、乾嘔者、不可吐也、當温之、宜四逆湯。二十三(方依上法)。 少陰病、飲食口に入れば則ち吐す。心中温温(うんうん)と…
【三二二条】 少陰病、六七日、腹脹、不大便者、急下之、宜大承氣湯。二十一(用前第十九方)。 少陰病、六、七日、腹脹(は)りて、大便せざる者は、急に之を下す、大承氣湯に宜し。二十一(前の第十九方を用う)。 少陰病になって6・7日経過しているのです…
【三二一条】 少陰病、自利清水、色純青、心下必痛、口乾燥者、可下之、宜大承氣湯。二十(用前第十九方一法用大柴胡)。 少陰病、清水(せいすい)を自利し、色純青(じゅんせい)、心下必ず痛み、口乾燥する者は、之を下すべし、大承氣湯に宜し。二十(前…
【三二〇条】 少陰病、得之二三日、口燥咽乾者、急下之、宜大承氣湯。方十九。 少陰病、之を得て二、三日、口燥(かわ)き咽(のど)乾く者は、急に之を下す。大承氣湯に宜し。方十九。 少陰病となって2・3日後に、口と咽が乾いてくるようだと、大承気湯で急…
【三一九条】 少陰病、下利六七日、欬而嘔、渴、心煩、不得眠者、猪苓湯主之。方十八。 少陰病、下利すること六、七日、欬して嘔し、渴し、心煩して眠ることを得ざる者は、猪苓湯之を主る。方十八。 少陰病で6・7日も下利が続いて、果たして熱証の猪苓湯にな…
【三一八条】 少陰病、四逆、其人或欬、或悸、或小便不利、或腹中痛、或泄利下重者、四逆散主之。方十七。 少陰病、四逆し、其の人或は欬(がい)し、或は悸(き)し、或は小便不利し、或は腹中痛み、或は泄利(せつり)下重(げじゅう)する者は、四逆散之…
【三一六条】 少陰病、二三日不已、至四五日、腹痛、小便不利、四肢沈重疼痛、自下利者、此為有水氣。其人或欬、或小便利、或下利、或嘔者、真武湯主之。方十五。 少陰病、二、三日して已(や)まず、四、五日に至り、腹痛、小便不利、四肢沈重(ちんじゅう…
【三一五条】 少陰病、下利、脉微者、與白通湯。利不止、厥逆無脉、乾嘔、煩者、白通加猪膽汁湯主之。服湯、脉暴出者死、微續者生。白通加猪膽湯。方十四(白通湯用上方)。 少陰病、下利し、脉微の者は、白通湯を與う。利止まず、厥逆して脉無く、乾嘔(か…
【三一四条】 少陰病、下利、白通湯主之。方十三。 少陰病、下利(げり)するは、白通湯(はくつうとう)之を主る。方十三。 この条文、あまりに短すぎて病態がよく分かりません。 そこで後述しています方剤の中身を見てみますと、葱白、乾姜、生附子の三味…
【三一三条】 少陰病、咽中痛、半夏散及湯主之。方十二。 少陰病、咽中(いんちゅう)痛むは、半夏散(はんげさん)及び湯之を主る。方十二。 単純な方剤ですが、桂枝甘草湯というのがありましたね。 54.太陽病(中)64条 桂枝甘草湯ー心陽虚? 奔豚気の…
【三一一条】 少陰病二三日、咽痛者、可與甘草湯。不差、與桔梗湯。十。 少陰病二、三日、咽痛む者は、甘草湯を與うべし。差(い)えざれば、桔梗湯(ききょうとう)を與う。十。 少陰病で咽痛する者には、甘草湯を与えてみて、治らなければ桔梗湯を与えてみ…
【三一〇条】 少陰病、下利、咽痛、胸滿、心煩、猪膚湯主之。方九。 少陰病、下利し、咽(のど)痛み、胸滿し、心煩するは、猪膚湯(ちょふとう)之を主る。方九。 少陰病で下痢をし、咽痛と胸満、心煩と、主に上焦に症状が現れています。 この場合の下利は…
【三〇六条】 少陰病、下利便膿血者、桃花湯主之。方六。 少陰病、下利して膿血(のうけつ)を便する者は、桃花湯(とうかとう)之を主る。方六。 【三〇七条】 少陰病、二三日至四五日、腹痛、小便不利、下利不止、便膿血者、桃花湯主之。七(用前第六方)…
【三〇四条】 少陰病、得之一二日、口中和、其背惡寒者、當灸之、附子湯主之。方四。 少陰病、之を得て一、二日、口中和し、其の背惡寒する者は、當に之を灸すべし。附子湯之を主る。方四。 少陰病となって1・2日経過したところ、背中が悪寒するのだが、口内…
まずは<類聚方広義>の注釈から見て行きます。 「大病が差(い)えたる後、虚煩して眠を得ず、眼中疼痛し、懊憹す。梔子豉湯に類して症情は同じからずして久痢し、腹中熱痛し、心中煩にして眠を得ず、或は膿血便の者を治す」 「痘瘡内陷し、熱気熾盛し、咽…
【三〇三条】 少陰病、得之二三日以上、心中煩、不得臥、黄連阿膠湯主之。方三。 少陰病、之を得ること二、三日以上、心中煩して、臥(ふ)すことを得ざるは、黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう)之を主る。方三。 条文の冒頭に「少陰病」とありますので、「…
【三〇二条】 少陰病、得之二三日、麻黄附子甘草湯微發汗。以二三日無證、故微發汗也。方二。 少陰病、之を得ること二、三日、麻黄附子甘草湯(まおうぶしかんぞうとう)にて微(すこ)しく汗を發す。二、三日證無きを以ての故に微しく汗を發するなり。方二…