ブログ『鍼道 一の会』

『鍼道 一の会』は、「福祉への貢献」を目的に、「伝統医学」を規範に、「鍼灸」を手段に、「大阪市」を本拠地に据え、活動を続けている団体です。(当ブログ内の一切の著作権は一の会に在ります。流用される方はご一報ください。)

腎の臓象

 基礎医学講座で、臓象学を講義している江見先生のイメージでは、腎の臓はダンベルが想起されるという。

 一身の重心が丹田であることを思えば、至極当然なのであるが筆者はやはり三才の大地がイメージされる。

 そして腎の陰陽の消長を考えるときに、天の気との関係性が重要となって来る。

 それはとりもなおさず、保腎の養生には、天の気が鍵となるということでもある。

 <素問・陰陽応象大論>では、腎の陰陽の消長を七損八益として記されている。

  この七損八益は、すでに<素問・上古天真論>で述べられており、それに先立ち以下のように記されている。

 『恬惔虚無.眞氣從之.精神内守.病安從來.』
 <恬惔虚無(てんたんきょむ)なれば眞氣これに従い、精神は内を守り、病いずくんぞ従い来たらんや。>

 心神の、あるべき在り様を述べてます。

 腎の臓は、心神によって健全に営まれると解釈して運用することができます。

  後述文中の「神主学説」の根拠となるところです。

 これを具体的に臨床で生かしてまいります。

 

【概要】

 臤(けん)の臣は、上を見ている目の形。又(ゆう=手の形)は、上目づかいの瞳に手を入れる形で、神のしもべとすべく眼精を傷つけ視力を失わすことを現している。(形成文字)

 腎は、人体の下焦に位置して一身の元気の源でありながら、上焦の心肺のしもべとして上焦・中焦を支えている沈黙の臓である。

 また腎は人の生長壮老死に深く関わることから、中国養生学では保腎を非常に重要視している。一方、保腎の為には、腎精をいかに保つかという点において、飲食・房事の節制と心神を穏やかに保つことが説かれている。(陰陽平衡)

 これらは、先天の元気‐腎、後天の元気‐肺脾、これら肺脾腎の機能は結局のところ心神が主っていると考えるのが、一の会で提唱している「神主学説」である。

 また保腎を目的とした身体感覚に意識的になることを提唱したのが「一の道術」身体学である。「神主学説」と「一の道術」は、陰陽・表裏関係である。

【位置】

第二腰椎下 命門穴

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【形状と臓象】

 腎は、生命がまさにこれから芽生えようとする、左右二個の豆・卵に象られ、中央は命門穴である。現代的には、蓄電池が連想される。

 また、上焦・中焦には、葉に象られた肺と肝の臓象図があるが下焦には無い。このことは、葉は受動的でありその時々に応じて揺れ動くものであるが、腎の臓象図は膀胱腑も含め、錘のようにどっしりと安定している。

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「腎者.作強之官.伎巧出焉.」<素問・霊蘭秘典論八>

 腎は、国全体がシャキンとする力強さの根源となる役割を担い、他の官に根気と粘り強さが維持できる力を与える役割を説いている。

 心神が細かい技術を根気よく続けようとする場合、この腎が下焦から支えることによって巧みな技が可能になるのである。逆から見ると、細かい作業に根をつめ過ぎると、腎を傷ることになる。

 

a.坎・水 f:id:ichinokai-kanazawa:20201003063103j:plain

 象卦は辛苦に対する意思。上下の陰が中の陽を挟むことから、全てを潤す水と解することもでき、また陰中の陽があるから水は移動することもできると解することも出来る。

 坎は、浅い井戸の意味があり、卦をみると二陰一陽であるため、寒気によって陽気が損なわれやすく、陰気が溢れると浮腫を生じることが解される。

 

 

 

【五行属性】

1. 五方・北、五季・冬 五能・蔵

 腎は五方・北で五季・冬であり、一日では暗黒の陰気が支配する夜に相当する。

 夜間における人体は、五能・蔵の作用で、神明は暗くなり、衛気もまた体内に蔵するようになり、深く弛緩して腎陽・腎精共に体内に潜み養われる。

 したがって、陽気の強い子供や内熱の盛んな者は、夜に熱盛の病変を発症しやすく、また腎陽の衰退しているものは、夜明け前の最も気温の低い時間帯に下痢を起こしやすい。(鶏鳴下痢)

 

2. 五竅・耳 五液・唾

 五竅・耳は、腎精を基にした納気作用によって腎の竅(きょう)である耳が開いてよく音を聞くことができる。加齢によって腎精が虚衰すると、上実下虚となり、次第に腎竅は閉じて難聴となる。 

 唾とは意識的に吐くことのできる水液で、腎の蒸騰作用によって生じる。

 

3. 五志・恐

 古代、神に対しておそれ、かしこまることを恐とし、全身の気が下焦に聚る。恐れが過度になると気が上半身に浮いてしまい、下焦の気が虚となって、腰が抜けたり失禁などを起こす。

 

4. 五味・鹹 五能・蔵

 鹹味とは、いわゆる塩味で、野菜を塩もみすると、水が出て柔らかくなるように、堅く結んだ積聚などを柔らかくし、しかも水液と一緒に下に降ろす作用がある。緩下剤に用いられる芒消は、陽明腑実などの堅く結集した腹部の積聚などに用いられ、牡蛎は頚部リンパ腫やガングリオンなどのしこりなどを解くのに用いられる。

 

5. 五労・久立傷腎

 立つためには、肝気を昇発させ清陽が昇る必要がある。また座位から立位への移動は、気の方向は下から上であることから、久しく立てば上実下虚となって腎気が疲弊し、また津液は次第に下って腎陽を阻むようになるため腎が障害されるのである。

 

6. 五主・骨 五神・志

 骨とは、象形文字では肉付きの骨を意味し、骨は身体の最も深部にあって身体を支える骨格となる。骨が弱ると、足腰が無力となり、立つことが難しくなる。また五神の志とは、心が一つの方向に向かうことであり、根気や持久力、集中力と理解することができる。

【主な経穴】

・募穴・・・京門 (足少陽胆経)

・原穴・・・太谿

・絡穴・・・大鍾

・郄穴・・・水泉

・背兪・・・腎兪 十四椎下 命門穴 帯脉と繋がる。

 

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